学校法人山崎学園 富士見中学校高等学校

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武蔵野美術大学×富士見高校【デザイン思考】3時間目

 高校1年美術選択者は、【デザイン思考】に関する授業に取り組んでいます。
この授業は高大連携プログラムとして、武蔵野美術大学デザイン・ラウンジおよび、造形構想学部クリエイティブイノベーション学科(以下、略称:CIと表記)にご協力いただいています。
詳しくは過去HP記事をご覧ください。
『武蔵野美術大学×富士見高校【デザイン思考】1時間目』
『武蔵野美術大学×富士見高校【デザイン思考】2時間目』

 本時は、各チームで課題設定した「困りごと」にみえるニーズ(=表面的な願望)からインサイト(=本当の願望)が何なのか思考していきました。この活動によってアイデアの方向性は大きく異なります。
例えば、「机が狭い」という困りごとに応えるには「机を広いものに変える」というアイデアがあります。これは困りごとの「もっと広い机が欲しい」というニーズに応えたものです。
ですが、「なぜ机が狭いのが問題になっているのか」を考えてみると「机の上に置くべきものが多いため」という事実があった場合、「もっと机の上をすっきりさせたい」というインサイトがあるのかもしれません。この場合は、「机の上をすっきりさせるためのアイデア」が発想されていきます。
前者と後者は、困りごととしての主発点は同じでも、インサイトは異なり、アイデアも大きく異なっていきます。前者はどこまでいっても「広い机」が発想され、パターンやバリエーションを変えた「広い机」が発想され続けるかもしれません。後者からは「多種類の文房具をひとまとめにした文房具」や「縦横の比率を変えたノート」や「教科書を立てるためのアイテム」などのプロダクトとしてのモノが発想されるかもしませんし、「みんなでシェア、いまどき女子高生の机上整理テク」といったコトのデザインが発想され、何らかの展開を生み出すかもしれません。どちらがよりクリエイティブでイノベーションが生まれやすい状況かというのは明確で、インサイトの重要性を実感しました。

 また矛盾から本音を探ることも行いました。
例えば、「消しゴムのカスを捨てるのがめんどうだ」という困りごとには、「消しカスを手で払って一気に捨てたい」というニーズと共に、「教室はきれいに保ちたい」という矛盾する気持ちもあり、「教室をきれいに保ちながら楽に消しカスを処理したい」というインサイトが見えてきます。このニーズに対して、インサイトに対応していないアイデアを提示しても共感は得られないでしょう。

 このように、前回の「さぐる」から得たモノコトを元にしながら、問題を定義するために本当の問題に「きづく」ための活動を行いました。
「きづく」活動の次は「ひらめく」活動を行いました。インサイトを叶えるアイデアを沢山出すためにブレインストーミングを行います。イメージが共有しやすいようにビジュアルも描き込みました。生徒達の柔軟な発想が色々と描き出されていました。
次回はアイデアを絞り込んで、具体化していきます。